CLIP STUDIO PAINT メイキング【3】主線

CLIP STUDIO PAINT メイキング ペン入れとベクターレイヤー

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ペン系のサブツールを使ってペン入れをしていきますが

私はベクターレイヤー派なので、まずはベクターのすばらしさについての布教を行いたいと思います。


こんなにあるぞ、ベクターレイヤーのメリット

CLIP STUDIO PAINTのベクターレイヤーを主線用に使うと、
以下のような点が便利です。

■1 線単位で消せる
 消しゴムツールを「ベクター消去」「線全体」で消す設定にしておくと、
 線単位で消去できます。
線全体を消去


■2 交点のこちらがわだけ消せる
 消しゴムツールを「ベクター消去」「交点まで」設定にしておくと、
 線と交わったこちら側の線をまとめてすべて消す、という動作が可能になります。

 この機能は、長髪キャラの髪の毛を別レイヤーに描いておいて、肩から下の身体に隠れる部分だけ消すとか、
 パーツが前後に重なった物体の後ろ側の線をまとめて消す
 などの場合に特に威力を発揮します。
交点まで消去


■3 拡大・縮小したときに線が荒れず、太さを保って変形できる
 主線を描いたあとに大きさを調整したい場合、
 変形時のオプションで「ベクターの太さを変更」のチェックをオフにしておくと、
 そのままの太さ・くっきりした線のままで縮小拡大ができます。
 線の太さを大きさを拡大するのと同じ拡大率で太くすることもできますし、あとから線の一部だけ太さを変更することもできます。
 構図が苦手な人には特にありがたい機能だと思います。
↑200%に拡大した例。見て分かるとおり、大幅に拡大縮小するとベクターでも若干の荒れはありますが、ラスターのように線がにじむことはありません。


■4 ヌリワケのとき、中心線までで塗り止まるオプションが使える
 塗りつぶしを行ったとき、ベクターで主線を描いておけば、線のちょうど中心までで塗りつぶすことができます。
 ラスターレイヤーの場合は色の境目までで塗りつぶされるので、塗りつぶしツールの設定によっては隙間があいたり、線を越えて塗りつぶしてしまうことがあります。


■5 描いた後にパス的に線を編集できる
 制御点のドラッグによる線の編集ができます。
線編集
 制御点の追加・削除もできますし、なぞって編集等のサブツールもあります。


ベクター機能を活かすためのサブツールの数々

と、すばらしいベクター機能ですが、
これらの機能を活かす為には
消しゴム・塗りつぶし・パス等のサブツールの用意が必要になります。
せっかくすばらしい機能があっても、ツールの切り替えに頭や手間を使うようでは
「けっきょく、普通の消しゴムの大きさ変えて使った方がいいんじゃね?」
「投げ縄選択+Deleteのほうが早いんじゃね?」
なんてことに......

そこで私は以下のようなツールをツールパレット上に常備しています。
(消しゴム・塗りつぶし系のツールは↓で配布しています。)
カスタムサブツールのダウンロードについてはこちら



ベクター消しゴム
■ベクター用消しゴム3種
 右端のヤツが一番よく使います。交点まで消去する消しゴムです。
 その左のは、交点まで消去ですが現在作業中のレイヤーにある線しか参照しません。
 さらにその左隣のは、触れた点まで消去(ラスターの場合と同じ挙動)の消しゴムです。交点まで消去したいのにちゃんと交わっていない為に消去できない、線を途中で切りたい、等の場合に使います。

ページの一番最初に紹介した線単位での消去は、すごく便利な機能ですが私はあまり使わないので(笑)、どうしても使いたい時は3つのどれかを一時的に設定変更することにしています。


ベクター/パス
■ベクター選択
 オブジェクト選択ツールの「選択可能なオブジェクト」を、ベクター線のみにしたサブツールです。
■定規・パス選択
 オブジェクト選択ツールの「選択可能なオブジェクト」を、定規のみにしたサブツールです。

定規を作成してからそれに沿ってベクターで作画することが多いので、
この2つは分けておかないと選択しづらくて非常にイライラすることになります。

■太らせ/細らせ
 指定幅で太らせる1.0のサブツールです。
 私は太らせのほうが圧倒的に使用頻度が高いので、太らせをデフォルトで置いておいて、サブツールグループ配下に細らせを置いています。


塗りつぶし
■塗りつぶしツール3種
 背景ピンク色のやつがヌリワケ用で、他のレイヤーを参照して塗りつぶします。ベクターレイヤーを参照した場合はベクターの中心線まで塗りつぶします。
 その左の背景黄緑の「同色塗りつぶし」サブツールは、同じレイヤー上の同じ色の部分を塗りつぶします。主にヌリワケが終わったあとの色変更用に使っています。
 一番左の赤背景の「シンプル塗りつぶし」サブツールは、他のレイヤーを参照し、色の誤差無し、領域拡縮無しの隣接したピクセルを塗りつぶします。



ラスター消しゴム
■ラスター用/ざっくり消しゴム3種
 広い面積をざっくり消したい場合はベクターでもこちらを使うことがありますが
 基本的にはラフ・本番の塗りを消したい場合に使っています。
 「触れた点まで」消えるようにした消しゴムで、サイズを500/200/50にしてあります。
 これにより消しゴム選択→ブラシサイズパレットで大きさ変更 でなく
 ツールパレット上を1クリックで消しゴムのサイズを選ぶことができます。


↓ 記事はまだ続きます。

主線用レイヤーを作成するアクションを設定しておく

前置きが長くなりました。作画の実際の手順の話をします。

まずラフのレイヤーが複数あった場合はフォルダを作って1つにまとめておきます。

その上に主線用のレイヤーを作成します。
メニューから直接設定するならこういう手順になりますが......
新規ベクターレイヤー、表現色グレー・黒
レイヤーパレット上で見やすくするため、パレットカラーを黒に変更


これを毎度やるのは大変だるいので、アクションに登録したうえで
ショートカットでInsertキーに割り当てておきます。
コマンドバーに空きがあればコマンド登録しておいてもよいかと

アクションはこちらからダウンロードできます。

ベクターレイヤーにする理由は前述の通りですが
表現色については、

カラーイラストの場合、完成段階では
黒一色よりも、塗りに応じた色の主線の方が見栄えがよいと思いますが、
作業段階でいちいち線の色を変更するのは大変です。
線の段階では形を作ることに注力したほうが効率がよいと思います。
また、主線の段階では色が決まっておらず、塗りながら変更することも多いです。
なので、主線レイヤーの色はカラーにはせず、グレー・黒一色にしています。
(「モノクロ」は、モノクロマンガ用の二値レイヤーです)
黒一色にしておくと、描画色が何色であっても、透明色以外なら黒で描画されます。

主線の色変更については、キャラクターの塗りが終わった後にアクションを使って行います。(後述)


ペンの設定について

私が主線用に使っているのは、「インク多めペン」という名前の自作カスタムサブツールです。

カスタムサブツールのダウンロードについてはこちら
※CLIPでも配布している

デフォルトの「カブラペン」を元に改造したので、以前は「硬いカブラペン」と呼んでいましたが、
硬くもなくカブラペンでもなくなってしまったので名前を変えました。
むしろ柔らかいGペンに近いような気がします。
太さが筆圧に応じて極端に変わるペンです。
描画対象によってペンを持ち替えるのがだるかったので、極力1本で描けるように調整しました。
が、筆圧・タブレット設定・タブレットの機種によって使い心地は大幅に変わると思いますので、よいように調整いただければと思います。


キャラクターはすべて
このサブツール「インク多めペン」でペン入れしていきます。


キャラ毎・パーツ毎にペン入れしていく

作業はこういう状態まで進んでいたのでした。

基本的には手前側から仕上げていくのがセオリーです。

アタリのフォルダの透明度を30%ぐらいに下げてペン入れしていきます。

まず、顔から。顔については私は特に決まった書き順が確立できていません。
描いては消し、縮小拡大切り貼り位置調整なんでもアリで
納得いくまで描き直します。

表情は、表情筋を意識して
笑顔や憎しみ、悲しみ等の表情を描き分けるようにしています。
笑いの場合は口角が耳のほうに引っ張られますが、他の筋肉に力が入っていると
笑顔でない表情になってしまうので塗りの時も注意が必要だったりします。
また、笑顔のときは目元の線を若干上向きに描くとそれっぽくなったりします。

黒目の部分は塗りつぶしておかないと表情が全然変わって見えるので、
塗りつぶし用のラスターレイヤーを作って、ヌリワケ用サブツールで塗っておきます。


見えない部分も描く

 既に描いた部分のレイヤーを30%くらいにし、
 Insertキーを押して新たに主線用のベクターレイヤーを作成します。
 物体が重なって見えないところは、前にあるもの、後ろのもの
 どちらも描いてみて位置関係を確認した上で、重なった部分を削除して
 レイヤーを統合します。
 塗りの時の立体把握に必要かな?と思われるパーツについては、削除前のレイヤーを残しておくこともあります。

 シャツとジャケットが重なっているので、両方描いてみた


 描かなくても立体が把握できている場合はよいのですが、
 あやふやな場合はとりあえず描いておいた方が説得力のある絵になります。
 顔を前から見た場合の後頭部や、髪の下の頭がどうなっているか
  →髪や帽子などの立体に影響
 服で隠れて見えない部分の裸体がどうなっているか
  →服のシワの説得力
 アクションの場合は、皮膚の下の骨や筋肉がどうなっているか
  →動きに説得力
 顔アップやバストアップの場合、枠外の下半身や地平面と接する部分
  →重心や3D空間上での位置関係の把握
 等に影響します。


立体を意識した線の処理

 後ろに隠れるパーツを「交点消しゴム」で削除
 したうえで、空気感を出す為「接触点消しゴム」で若干白ヌキする



 ペン入れの丁寧さは、立体の前後関係に影響します。
 立体同士が接続している部分で、線が直交してしまっている場合は、立体の体をなしていない事が多いので、よく見直して修正しましょう。線がぶつかるところでは、十字ではなくT字かY字になるはずです。十字になるのは、そういう模様が描いてあるときと、前にあるものが透明なときと、髪の毛のような細いものだけです。
 何を言っているのかというと、こういう
 こういう場合の線のはみ出しは、立体としておかしいので
 極力消しましょう。という事
 手描きの味を狙ってあえてはみ出させる、というのも間違いとは言い切れませんが、よほど上手い人でないとただの手抜きになります...
 またこの図は離れた2つの物体と想定してるので白ヌキとかやってますが
 くっついてる場合は影が出来るので、線の根元の部分をインク溜まりっぽくしたり、線を太くしたりして影を表現します。袖口のとことかですね


 髪の毛を描きます。
 髪の毛は繊細に入り抜きしなければいけないので
 ラフがラフすぎてそのままペン入れできないことが多いです。
 ラスターレイヤーに鉛筆で、髪の房を意識した下描きをもう一段階やります。
 ロングヘアーの女の子のアップの絵などは髪だけで3枚くらいレイヤー分けて下書きしたりします

 ていうか、今回は、エフェクトの都合があるので、なびいてる感じにした方がそれっぽいかなって

 ペン入れ

 後頭部と後ろの髪も描きました。シー君の線画はこれで一応完成です。


 シー君のレイヤーの不透明度を30%とかにして、Insertで新規主線レイヤー作成

 フィリーさん(右の女の子)描きます。このくらいの密度の絵が一番描き慣れてるので顔アップよりサクサク描けます
サクサク


定規を使って線を引く

刀と刀の鞘を描きます。
鞘や刀身を描くのには定規サブツールを使うと便利です。
直線ツールってやつもありますが、あれだと硬い線になってしまう
定規を作成して、ベクターレイヤーで定規にスナップして描くのが良いです。


直線定規や3次ベジェによる曲線定規は、槍系の武器の柄や、大きな武器の刃の曲線を描くのによく使っています。


定規の使い方ですが、サブツールのオプションに「編集レイヤーに作成」というチェックボックスがあるのですが、
ver1.2.3ではこれにチェックを入れると、一番下のレイヤー(用紙レイヤーのすぐ上)に定規レイヤーが作成されて、そこに定規がまとめられてしまうのですが
定規を編集して、描く用のレイヤーに戻る手順がだるいので
チェックを外して使っています。
定規を作成するときには主線用のレイヤーを新規作成してから作成する、という
正直定規はIllustStudioのほうが使いやすかったよなぁ......



 ナナハ(左の女の子)を描きます。
 身体を描いて、服を描いて......


線の太さを変える

 後ろ髪と、裾のひらひらを描いて、完成。
みつあみやフリルなど、線が密集している部分は重たく見えてしまうので、
マッス(塊)の輪郭だけ太めにして、ディテール(細部)の線を細くします。
光源を意識して、光が当たっている部分は特に細くしたり、線を省略したりします。
または、あとで線の色を変えるときに、ここの色は特に薄くしなきゃーと思いながら描きます。



全キャラのレイヤーの不透明度を100%に戻して位置を調整します。
線画完成です。
(キャラが重なっている部分の主線の削除は、ヌリワケしてからのほうがラクなのですが、見やすくする為に削除後のを載せてみました。)


満足な線画が描けたので、もうコレ塗らなくてもいいんじゃないの?という気分になりつつ、次の工程へと続きます。


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