なぜ黄色と青or紫なのか──色相の違いと明るさの関係
カラーサークルで色を選ぶような人はたいがい知っていることだと思いますが
いちおう
色には「色相」「彩度」「輝度」があります。
(HLSの場合。HSVの場合は「色相」「彩度」「明度」)
これを色の三要素とか色成分とかいいますが
デジタルで色を扱うときには、内部的には、絵はこういう
色の値をもった点の集まりとして扱われています。
色相:CLIP STUDIO PAINTのカラーサークルでは一番外側のわっかです。
0/360 が赤、上が黄色、左が緑~青、下が青紫
色味を表します。
私が目安にしているH(,L,S)値の一覧
輝度:CLIP STUDIO PAINTの三角形では縦軸です。
色の明るさ。0に近いほど明るく、100に近いほど暗い色になります。
彩度:CLIP STUDIO PAINTの三角形では横軸です。
色の鮮やかさ。0に近いほど灰色(くすんだ色)、100が純色(鮮やかな色)になります。
で、HLS色空間的には、輝度が同じ色は、H値が違っても
「同じ明るさ」という扱いになりますけれども
人間が見た場合に感じる色の明るさの感覚とは、ちょっと違います。
そもそも色ごとに波長が異なりますので、L,S値の色であっても、違う明るさに見えるはずです。
たとえばこれ、縦列ごとにL,S値が同じですが、
黄色に近いほど明るく、青紫に近いほど暗く見えます。
で、現実の物体の色はどうなっているかというと、やはり
ハイライト部分の色相は地の色より黄色寄り
シャドウ部分の色相は地の色より青紫寄り
になっています。(当たっている光の色によっても変わりますが)
何が言いたいかというとつまり
単純にL,S値の値をいじるだけではデジタル的な不自然な色になるので、
明るい部分は若干黄色側、暗い部分には青紫側
に寄せるとより自然な色になって深みが出る、という事です。
場合によってはL,S値をそのままにしてH値を変えるだけでも、明るさの違いの表現は可能です。
(デザインの世界やpop調のイラスト等ではよく使われている技法かと)
(※だいたいこっち側の色に近づけるといいよ、という話であり
H値の基準をきっちり60や240にしろという意味ではありません)
【5】塗り の段階の影色選びの時にも、この原則は使えます。
ハイライトの強調と照り返し
より立体を強調したい場合は、さらに
主線より上に加算(発光)レイヤーや覆い焼きレイヤーを追加して
白や明るい色でハイライトをのせます。
今回の絵だとエフェクトも含んでますが、まあ、こんなかんじ
今回の絵ではやってませんが、物体が黒っぽい場合、影を極端に暗くした場合、球や円柱に近い物体である場合などは、影のはしっこに謎の照り返しをいれて立体を強調する、という手法もあります。
↑どこからきた何の光なのかまったく意味が分からない謎の照り返し。リアルな表現ではないが、画面が地味なときに、キャラに使っていない色で描くと、画面が派手になるという効果が期待できる。
空気を描き込む、という発想
キャラクターを複数描いたが、前のキャラクターと後ろのキャラクターが一体化して見える。
または、身体の前に突きだした腕が胴体と一体化して見える。
このへんが一体化して見えるような気がする。
こんなときの対処法としては「空気を描く」という手があります。
主線の部分で、離れている物体の主線を白ヌキするという手法がある話に触れましたが、
塗り部分でもこれの考え方は有効です。
こんなふうに、空気が存在している。
現実では、この程度の距離のあいだの空気は目に見えませんが、
シチュエーションにより
・空気中の埃に光が当たって淡く光っている。
・二人の間に風が流れている。
・人間の体表から立ち上っている水蒸気を可視化。
等を想定して薄ーく白モヤをいれます。
なお白モヤ(や風を表現したブラシ等)を濃く描きすぎるとオーラっぽくなります。
あえて濃く描くと、立体の位置関係が修正できるだけでなく
キャラクターの存在感が強調されますので
キャラクターが一人の場合でも使える方法です。
まず、キャラクターのヌリワケ部分と主線の範囲をあわせて選択しておきます。
一番上のレイヤーを選択して、
ここで配布してる
選択範囲から白モヤ追加
白モヤ追加アクションを実行します。
このアクションで追加された白モヤは、2D上の輪郭の一番外側にしか適用されていないので、他の部分は手動で描く必要があります。
また、あからさまに雲模様フィルタっぽさが残っていていまいち面白くないので、
がさがさ塗り混ぜブラシで伸ばすように描き直します。
ごく薄くするので、それほど丁寧に処理しなくても大丈夫です。
注意すべき点は、物体がぴったりくっついている部分には空気が存在しませんから、描かないようにすることです。
物体との距離が遠いほど濃く描きます。
この白モヤは、前段階までの、形状を定義する系の作業の効果と干渉しあいます。演出を考えて、影などを優先する場合は消します。
描き終わったら、このレイヤーを通常・10%にします。
(空気を強調したいときは20%とか30%とかでもOK)
微妙な違いですが、
空気感が強調され、前後に重なっている物体の間にすきまがあいています。
空気遠近法という手法があります。
これは特に風景画などでメジャーな手法で、
遠くのものは見る人との間に空気があるから、
遠くのものほど対象物がぼんやり見えたり、色が薄く見えたりする、というもの
上述の「空気を描き込む」という手法もコレの一種といえなくもないですね。
あとづけで空気を描き込む以外にも、
主線の段階で手前のキャラより細く描く、主線の密度を間引いて描く、
塗りの時手前のキャラより薄めの色で塗る、あまり描き込まずざっくり塗る、といった手法でも
キャラクターの前後関係を描き分けることができます。
反射光
すべての物体は近くにある物体から反射する光の影響を受けています。
特に金属の場合、周囲の物体からの映り込みも、金属から出た光が隣の物体への映り込みも顕著になります。
加筆用のレイヤーかオーバーレイのレイヤーに、
(3D的な意味で)近くにある物体の色を拾って、
硬軟両用エアブラシなどで薄く乗せます。
金属の発光の映り込みなどは加算(発光)レイヤーに乗せます。
エフェクトの光の映り込み
今回は技エフェクトを描いているので、エフェクトから出ている光がキャラクターにも映り込みます。
キャラクター全体の色味を変えるかどうかは、演出意図と好みによりますが、
今回はそんなに色を変えないで、一部の光の映り込みのみにとどめることにします。
全体のバランスを見て、描き込みすぎたところは薄くするなりなんなりして調整します。
以上全部をがっつりやると、意図がよくわからない絵になるので、適宜、強調したい部分の作業だけ行うようにします。
環境光の描き込みが終了しました。
続きます。
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