CLIP STUDIO PAINT メイキング【4】塗り準備

CLIP STUDIO PAINT メイキング ヌリワケ・フォルダ生成・自動影色指定/アクション・プラグイン等

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線画完成後←→本塗り前のあいだの作業についての解説です。
多分私の作業手順で一番独特なのはここだと思いますので参考になればと


ヌリワケは1枚のレイヤーに二値で塗りつぶす

ヌリワケ(地塗り)には大きく分けて2つの流派がありますが......


1) 1枚のレイヤー上にヌリワケをし、
  塗り作業時には自動選択サブツールを使って色域の範囲を選択する。

2) パーツ毎に別々のレイヤー(+フォルダー)を作成し、
  ヌリワケのレイヤーでクリッピングする。



私は 1) 派です。
CLIP STUDIO PAINTには 2) 派の人向けに大変便利な機能もあるのですが、
私は、2)だと

 レイヤー作成時にレイヤーの名前をテキスト入力するのがめんどくさい
 レイヤーパレット上で該当のレイヤーを探すのがめんどくさい
 自動影色指定が使いづらい

の3つの理由から、圧倒的に 1)推しです。



で、1) の場合、塗り分けは「色の誤差0」「アンチエイリアスoff」の塗りつぶしサブツールで行うことをお勧めします。
ヌリワケ用

アンチエイリアスありで塗りつぶすと、隣のパーツとの境界部分で色が混ざって、
あとから色を変更したとき等に大変めんどくさいことになる為です。

二値で塗りつぶすと、線のない部分では当然
100%以上で表示して見ると境界がガタガタになりますが......

主線が境界上に乗りますから、完成後の見栄えにはあまり影響ない筈です。
線が切れている部分や、髪の毛など細い部分は比較的目立つので、そういう部分は
キャラ彩色がひととおり終わった後で、上から加筆修正します。

さらに、完成サイズの4倍とか5倍とかの高解像度で作業しておいて完成後に縮小すれば、作画中に二値であった部分も馴染みます。



ヌリワケました。


色がまだ決まっていない部分についてはとりあえずパーツ別に塗っておいて、
あとから全体を眺めながら
「同色塗りつぶし」サブツールで色を変更します。


配色を考える

配色にはデザイン的、心理学的なセオリーがあります。
同系色でまとめるとか、逆の色にするとか、似たような濃さの色にするとか
つきつめて考え始めると深いので


とりあえず手っ取り早くそれっぽい色でまとまりよく配色したい、という場合
こういうサイトを使うと色候補が手軽に決まって便利です。
(本来の目的はwebデザインの配色用のサイトのようです)

Color Scheme Designer 3


使い方の例
■1 キーカラーを1つ決めます。
 たとえばキャラの服の色を決めたい場合、とりあえず目か髪の色にしてみましょう。


■2 キーカラーのRGB値を入力します。

 「RGB:FF0000」という文字をクリックし、出てきたダイアログにRGB値を入れるのですが

 CLIP STUDIO PAINTではRGB値が16進表記されていません。
 そこで、表示色を直接取得できるフリーソフトをいれておくと便利です。
 これとか

 pickcolor

 pickcolor.zipをダウンロードして適当なところに展開します。pickcolor.exeをダブルクリックで起動します
 「取得」ボタン上でクリックし、マウスボタンを押したまま色を取得したい部分までカーソルをもっていきます。
 ボタンを離したところの色が16進表記で取得できるので、#のあとの6字をコピーします。

 したら、Color Scheme Designer 3のサイトのダイアログに戻り、
 カラーコードをペーストして、OKをクリックします。

■3 配色の切り替え

 すると、右側にまず同系色が表示されますので、
 左上のダイアルみたいなボタンをクリックして切り替えたり、
 左下のタブの中身をいろいろいじりながら、
 好みの色の組み合わせを探します。
 これを使おう!と思ったら画面をキャプるなどして保存しておき、
 CLIP STUDIO PAINTにもってきて色を拾って使います。


 まぁ、メイキングのこの絵の頃はここは使っていなかったのですけども

 最近はよくこのサイトを使っています。


キャラが重なっている場合の処理

位置調整を考慮して複数のキャラの主線を別レイヤーに描いた場合、
ヌリワケもキャラ毎に塗り分けて、位置の調整後に主線を削除し、ヌリワケを統合する
という手順をとると効率的です。

もちろん塗り終わりまでキャラ別のレイヤーで塗ってもよいのですが
キャラクターのぶんだけレイヤーが増えるわけなので
目的のレイヤーを探すのが大変めんどくさくなりますので
私はだいたい本塗り前の時点で統合しておきます。


レイヤーはこうなっている。


シー君(手前のキャラ)のヌリワケのレイヤーの上で、ctrl+クリックして
透明部分を選択


選択範囲を3px拡大します。
後ろのキャラの主線をDeleteキーを押して削除します。


主線レイヤーを統合します。

ヌリワケのレイヤーは、重なり順を確認してそのまま統合します。

これで、主線レイヤー1枚、ヌリワケレイヤー1枚にまとまりました。すっきり。


キャラ単位エフェクトをかける等、
あとから統合前のレイヤーが必要になる場合もあります。
が、私はだいたい進捗の差分を細かく保存してあるので、ここではばっさり消してしまって、必要になった場合は以前のファイルからコピペするようにしています。


影ラフ

本塗りの時に形状を把握しやすくする為、この段階で
光源の位置
立体の形状、落ち影
を意識した影ラフをつくっておきます。

ヌリワケの上にラスターレイヤーを作成し、下描きレイヤーに設定
黒っぽい色で、影の形状のラフをざっくりと描きます。
色はすぐに自動影色指定フィルタで塗り替えるので、この時点では一色でOKです。


影は色合いだけでなく面積によっても物体の印象・形状が大きく変わってしまうので
あまり黒すぎると不都合な気もしますので
この時点で描き込んでおきたい人はあまり濃すぎないグレーでレイヤーを乗算にして描くと
いいかんじになるかと思います。


私はこの時点では影の向きと立体がわかれば良いというスタンスなので、濃い黒でざっくりいきます。
この程度の粗さで


ヌリワケのレイヤーを非表示にしてもかっこよく見えればだいたいあってる。
グリザイユ的な。


あとはアクション1クリックで塗り準備完了

さて、この時点でレイヤー構成はこうなっています。
ヌリワケのレイヤーを選択し......
レイヤー構成


コマンドバーに登録した「塗り用レイヤーセット」アクションをぽちっと

コマンドバー



すると、こうなる



以上塗り準備終了、続く......





と、私のCLIP STUDIO PAINTではそういう手順になっているのですが
他の方のクリペではこうはならないので
アクション中で何が行われているか、以下に解説します。


↓ 記事はまだ続きます。

「塗り用レイヤーセット」アクションとは?

「塗り用レイヤーセット」アクション シリーズは、
私が素材サイト「よく訓練された素材屋」で配布しているアクション集の中に含まれているアクションで
現在3つあります。


「塗り用レイヤーセット」アクション シリーズの主なコマンドの内容はこんなかんじ

・塗りに必要なレイヤーを作成
・作成したレイヤーの名前を変更
・レイヤーのパレットカラーを変更
・ヌリワケのレイヤーで、塗り用のレイヤーの入ったフォルダをクリッピング
・ヌリワケのレイヤーを複製し、自動影色指定フィルタをかけ、
 影ラフのレイヤーの不透明部分を選択し、範囲外を消去


アクションパレットの内容はこんなん

で、影色を指定するかしないか、どうやって影色をつくるか、でバリエーションが3つ

用意してあります。


塗り用レイヤーセット(FULL/アニメカラー使用版)

私が常用しているのに一番近いのがこれです。
影色の指定に、私の作ったフィルタプラグイン「g_自動アニメカラー変換」を使います。
フィルタプラグインはEXのみで実行できます。PROでは無理です。
「自動アニメカラー変換」フィルタプラグインをダウンロード(CLIP公式サイト)
EX版・Winユーザーの方なら動作も軽いのでこれがおすすめです。
(アニメカラー以外の変換には、ほんとはg_自動影色指定という別の応募作のがおすすめなのですが、まだ公開されていませんので...公開次第、アクションのほうにも追加予定)

クリペアクション集g_action_CSP 中に含まれています。


塗り用レイヤーセット(FULL)_sample

フィルタを作る前に使っていたものです。
影色の指定をアクションで行っています。
PRO版やMacユーザーの方でも使えます。また、アクションを改造して色を変更できます。
ただし、アクション実行前に、添付の「色サンプルセット」という画像を仕込む必要があります。

自動影色指定アクション版の旧バージョンがベースになっているので、アニメカラーの変換がしたい場合は改造が必要です。

自動アニメカラー変換 オートアクション版 中に含まれています。


塗り用レイヤーセット(自動仮影指定ナシ)

自動影色指定が必要ない場合にはこちらをどうぞ。

クリペアクション集g_action_CSP 中に含まれています。




「自動影色指定」フィルタプラグインについて

「自動影色指定」フィルタは、私の自作のフィルタプラグインです。
プラグインコンテストで「自動アニメカラー変換」とともに応募したものです。受賞したのはアニメカラーのほうだけなので、まだ配布されていませんが、配布できるようになったら登録しようと思っています。
「自動影色指定」の機能は、「自動アニメカラー変換」にも含まれているので、5/30以降当分のあいだは「自動アニメカラー変換」のほうを使って頂ければ、同様の事ができるわけですが


フィルタ使用前→使用後(自動アニメカラー変換)


要するにこういうふうに、ヌリワケの色をもとに、影っぽい色に自動的に変換するフィルタです。

「自動アニメカラー変換」は、ヌリワケの色が「アニメカラー_カラーセット」に含まれている(RGB値がまったく同じ)色であれば、カラーセット上の隣のタイルの色に変換します。隣のタイルが無い場合や、隣が同系色ではない場合は、私が適当に選んだ、カラーセット上にある近似の濃い色になります。
内部的にカラーセットのリストをRGB値で持っていて差し替えているという単純な発想の力業フィルタになります。

ヌリワケの色が「アニメカラー_カラーセット」に含まれていない色の部分では、
私が設定した色範囲ごとに、色相・彩度・明度をいじって適当に影っぽい色に変換します。
(これは「自動影色指定」フィルタの機能なのですが、「自動アニメカラー変換」のほうにも補助としていれてあります)

パラメータをいじって影の濃さを変えたり、シャドウではなくハイライト色にしたりもできます。



物体の影の色は、光の強さや周囲の色によって変わるものですから、
自動的にきっちり正確な色を決めるのは無理ですが、

アニメ/コミック系の絵を描く場合の、影の色の選び方は、
割とテンプレ化している人が多いのではないでしょうか。
カラーサークル上でナナメ下にずらす、とか、そういうの

なので、その程度のレベルの仮色指定用と割り切って使えば役に立つんじゃないかなー、
少なくとも単純に彩度・明度を落としたり、同色を乗算よりはマシな色になるかな?
という方向性で調整しています。
フィルタで決めたそのまんまの色で実用できるかどうかは保証できませんが
影色を決めるときの参考にはなるのではないかと思います。





そんなかんじで......
このへんフィルタプラグインが公開した後にまた書き換えると思います
とりあえず仮の文を置いておきます。

続きます。


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