カート
「ナナハのメモがあまりにも見づらい、という苦情におこたえして、今までに決まったところを清書しておきました。1枚目と2枚目ね。」
ナナハ
「ナナハのせいじゃないよ!上から手書きなのがわるいんだもん!」
カート
「そうだね。人に見せる文書は、よっぽどの演出意図がない限りは、パソコンできちんと清書して出すべきだね。
手書きが重宝がられるのは、学校の宿題とか、コピペじゃありませんって証明が必要な文書だけだから......。
清書するには、MicrosoftのOfficeならPowerPoint、OpenOfficeならImpress、などなどのプレゼンテーションソフトを使うか、GoogleDocsつかうか......きれいにデザインしたい場合は画像処理系のソフトでレイアウトしてもいいんだけど、そのへんはまたこんど。
今回は、作品のなかみを考えていこう。
まだ、見事に何もきまってないよね。」
カート
「さて、
人の思考には、3つの段階があるといわれます。それは、
拡散→分析→収束
の3段階。
拡散は、アイディアを思いつく、ひとつのアイディアからたくさんのアイディアを生み出す、ネタをふやして集める段階。
この段階では、思いついたアイディアを評価したり否定したりするのは禁物。どんなにくだらないと思ったことでも、口に出す、書き留めてみることが大事。いいアイディアは、あたりまえの事のむこうに潜んでるかもしれないし、とりうる選択肢は多ければ多いほどいい。ほんとに使えなかったら、あとで捨てればいいだけの話だしね。
アイディアいっぱい集めたら、それを分析して、使えるアイディアと使えないアイディアをよりわけたり、アイディアどうしの組み合わせから新しいアイディアを引き出したりします。
さいごに、そのアイディアをまとめて、自分なりのかたちで出力する。文章を執筆したり、作品として表現するわけ。」
カート
「分析と収束は同じ段階として扱ってる人もいる。
で、創造的思考のためにいちばん重要なのが、最初の「拡散」思考なんだよ。この段階とあとの段階を一緒にやろうとするから、無限ループに陥って、何もおもいうかばなくなる。拡散と収束は、脳の使い方としてはまったく正反対だからね。
分析・収束は、理詰めで正しい答えをさがしていくこと。でも、拡散の段階では、正しい答はありません。君の真のオリジナリティが問われることになるぞ。」
カート
「ま、簡単に言うと、ネタをおもいつくのと、文章かくのは、別の能力なんだよってことだね。
で、よのなかには、この発想の段階ごとに使うと、やくにたつ、発想法──マニュアルが存在するのでぃす。」
ナナハ
「おー!......さいしょからそれ紹介してください」
カート
「発想の段階を踏まえないと、まったく意味がないんで、かんべんしてちょ。
それに、既に1個、紹介したよね。
マインドマップ。あれも、発想法のひとつだよ。
拡散、分析、収束、どの段階でも使える。
ひとつの言葉を中心において、思いついた言葉を互いに関連づけながらまわりに書き出していく。ものすごく汎用性のあるツールだ。」
カート
「ところでナナハ。ネタノートとか、メモを書き留める手帳とか、つくってる?」
ナナハ
「うーん。じゅぎょうちゅうにルーズリーフの上とかにいろいろ書いてるけど、ちゃんとまとめてないから、見せるのはずかしいよ?......これ」
カート
「どれどれ......うわっ、はずかしいなあ」
カート
「らくがきって言うから軽く聞こえるけど、ネタはいつどこで浮かぶかわからないからね。とくに授業中なんて、いままで知らなかった新しい概念や知識、思想を学ぶ場なんだから、脳が刺激されていろいろ思いつくのは当然だよね。」
カート
「で、おもいついたことはその場で書き留めよう。そのときはまた考えればいいって思うかもしれないけど、人間の脳はものすごく忘れやすくできてるから、信用しちゃいけないよ。メモってから、忘れること。そして、常に、すぐメモれる道具をなにか携帯しよう。
......あ、なんだその疑いの目は。このへん読んでみ。
「とにかく毎日最低1つ発想しましょう」ていう発想法があるんだぞ。アイディアマラソンっていうんだけど」
カート
「他にもメモを重視する発想法はあると思うけど、
日ごろからアイディアを思いつく準備をしておきましょうっていう、体質改善しましょうみたいな考え方になるから、今、即効性があるかというと??だから、追って紹介することにする。」
カート
「拡散思考のための発想法で、今すぐ!なやつとしては、
マンダラートがあるね。これは、マインドマップとも似てる放射系思考のツールなんだけど、9マスのマス目を用意して、中心に「問い」(またはテーマ)を入れて、まわりの8つを「答え」で埋めていく。
このへんにもあるけど、強制的に8つっていう制限があると、なんとしても埋めなきゃ!て気分になるからアイディアもひねりだしやすいって寸法だ。
で、埋めたら、こんどは8つの答えのうちひとつをピックアップして、真ん中において......ってやっていくと、どんどんアイディアが詳しく、広がっていく。」
カート
「さっき、拡散思考では出てきたアイディア制限しちゃいけないようなことを言ったけど、アイディアを出すために自分に制限をかけるのが必要なことは、あるよね。たとえば、時間制限を設けるとか。2分以内に8個書け!って言ったら、これくだらないアイディアかなあとか思ってもひねり出すでしょ。
よし、それでいこう、ナナハ。はい紙」
カートはナナハに紙を渡しました。
カート
「縦に3マス、横に3マスつくってね。テーマは「ファンタジーといったら何?」だ。用意、スタート!」
カート
「うーん。中世西洋風ていうか典型的なRPGなファンタジーなんだね。無難な答えだなあ。
はい、次の紙」
カート
「今考えたいのは、これから作るアニメの作品タイトルとテーマ、キャッチコピーとウリ、だからね。この材料で企画書埋められるなら、もうやらなくてもいいよ」
ナナハ
「......そ、そですね......。お題くらさい」
カート
「じゃあ、細かく検討していこうか。かっこいい剣士について。彼が主人公なんだよね?ひとつは、銀髪だろうけど」
カート
「なるほど。さる国の高貴な騎士が、なにかの罪を犯したか失敗するか誰かにハメられたかで故郷を追い出されて、舞台となる別の国でおそろしいモンスターを倒して活躍するお話なきがするね。おひめさまとのラブロマンスもありなのかな?
じゃ、次」
............
カート
「さて、いろいろ出てきたね。このなかで、1つしか盛り込めないとしたら、どれをテーマにする?1マス選んでみて」
ナナハ
「だって、銀髪はすきだけど、テーマっぽくないんだもん」
カート
「あたまからおわりまで、ずっと銀髪のキラキラっぷりを描くっていうのも、斬新でいいかもよ?5分じゃ長いかもしれないけど......。
じゃ、「さすらいの人」を中心に、いままであがったキーワードを再検討してみようか」
カート
「うん。今回はこれでいいんじゃないかな。
分析と収束については、また、脚本書くときに説明するね。
発想法は、こんかいはけっきょくマインドマップとマンダラートで用が足りちゃったけど、
おもしろいサイトを推薦しておくから、次までに読んで、
練習しておくと良いよ。ここね。↓
発想力トレーニング
......ちなみに企画書を改善するのにいちばんいい方法は、3日ぐらいおいてもう一度みなおすことだよ。3日おいて見直して、1週間おいてみなおして、1ヶ月後にみなおして、それでやめようってなったら、そのプロジェクトは着手しないのがいいね、あはははは」
ナナハ
「えんぎでもないこといわないでくださいよー」
カート
「ま、来週の部会でもっかい検討しようね。
......来週?」
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